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2008-07-06

オブジェ制作2

コンピュータや携帯電話といった、デジタルコミュニケーションツールに囲まれた世代に生まれ、それを使うことを余儀なくされている…と悲観的に感じている人はどれだけの少数派だろうか。特に我々若者の世代で。

私はパソコンを12年間・携帯を7年間使い続けてきた。きっと、普通の人が使うよりパソコン・携帯を酷使してきたし、「それがなければやっていけない」と自発的に好意的に思っていた。だが、人間ある程度行き着くところまでいくと、その反対を欲するようで、デジタル機器に囲まれない生活をしてみたい、という贅沢を考えてしまう私に気づくのである。最近では「それがなければやっていけない」と悲観的に思うようになった。

ならば実行してみればいいじゃないか、と考えてみた。パソコンを開いてWeb閲覧をやめることはできるかもしれない、携帯を持ち歩かないで音信不通になれるかもしれない。ああ、私の場合それはできるかもしれない。だけれども、私が抱える一番の問題は、自分の音楽が「コンピュータ音楽」であるということである。使いたくないコンピュータを使わなければ自分の音楽ができない、ということがひねくれた問題であり、皮肉である。

今ならギタリストであるジミ・ヘンドリックスがギターに火を着けた気持ちが分かるような気がする。デジタル機器との関わりを絶つことの出来ない私は、自分への戒めとして、ノートパソコン・携帯を物理的に”つるし上げ”、"揺さぶる"ことで、それを表現しようと思った(写真参照)。

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このオブジェをつくりながら気づいたことがある。

少なからず数年後には、大半の人が「悲観的な」デジタル機器への関わりを感じはじめることだろう。私のように「コンピュータ音楽」について悩む人はいないだろうから、その多くは、デジタルコミュニケーションの飽和によるものだと思う。

mixiをはじめとしたSNS、Web2.0の立役者であるブログ、メールによるコミュニケーション、モバイル端末の普及と技術発展によるネットアクセスの簡便・高速化。文字ベースのコミュニケーションから、画像・動画などのよりリアル(に感じられるよう)なコミュニケーションへ。

しかし、デジタルはいくら技術が進歩し続けても、デジタルの域は超えられない。やはり、リアルではないのである。それはもうみんな薄々気づいているのだ。ただ、気づかないふりをして、行き着くところまで行くだろう。そして、それが飽和状態になってどうしようもなくなったとき、デジタルを超えるデジタルが初めて認知される、それは「アナログ」である。

ここで言う「アナログ」とは「超デジタル」である。現在、デジタルと対になって、かつ見下されて考えられている「反デジタル」のアナログとは違う。未だIT革命の余波に浸っていたり、デジタル神話を信じてやまない人は到底これを実感として感じられないだろが、数年後の飽和状態になった後に認知される「アナログ」は、デジタルよりもいいものと認知され、アナログとデジタルの立場が逆転するのである。そうか、そうなると「デジタルとは、アナログを表現するツール」と胸をはって言えることになる。そして、ここでまたいろいろ気づくことが出来るのだ。

まず、なぜ自分がパソコンや携帯をつるし上げようと思ったのかが分かった。これは、アナログを軽んじていた私への戒めであり、デジタルを皮肉に扱うことでのアナログ優位性を示すためのオブジェである。

また、自分で言うのも何だけれど、同じ学年の中で一番コンピュータを扱うことが出来た自分が、どうして工学部などのコンピュータを専門に取り扱う分野に進まず、音楽に方向を向けたのか、が分かった。この選択をしたのは高校2年生の時だ。工学部に進もうと漠然と思っていたのだが、それがどうしても嫌になったのだ。そのときなぜそう思ったのか自分でも分からなかった理由は、今この考えにあると思う。コンピュータを専門にしてしまえば、デジタル神話への荷担をしてしまうことになる、それが嫌になると薄々気づいていたのだと思う。でも、そのときはデジタル機器大好きだったから、それに気づきたくない、という気持ちの狭間で訳分からなくなっていたのだと思う。このしこりがとれるまでに5年かかった訳だ。うん、私と同じようなことに大半の人が気づく5年後くらいには、きっとmixiもブログも、なくなってるんだろうな。

コンピュータ音楽であれば、アナログの音楽を生み出すための「ツール」ですむ。技術は取り入れなければ行けないが、それに完全に蝕まれてはいけない。

さて、つくりかけのオブジェ、もっとがんばるぜ。

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