カテゴリー「作曲」の記事

2009-03-07

『DAreflex』(コンピュータ音楽作品)解説

『DAreflex』 for Chorus, Japanese Drum & Max/MSP - Kawai Tatsuto
(ディー・エー・リフレックス〜混声四部合唱と和太鼓とMax/MSPのための/河合達人)

MP3版(320kbps)ダウンロード→こちら

<概要>
 人間の「反射反応」について、みなさんご存知かと思います。私が「反射」の不思議を一番感じたのは、顔をやけどした時でした。熱いものが顔全体にかかった瞬間に、手が勝手に動きそれを拭っていました。そしてあとから「あ、手が動いている」と気づくのです。

 自分が気づかずにそうしてしまっていることを後からふと感じると大変不思議に感じます。それは、生理的な反射反応に限らず、例えばその場の雰囲気にのまれて動いてしまう…ということもあるかもしれません。

 「トランス状態」も一種の反射から起こるものだと思います。インドネシア・バリ島の音楽「ケチャ」は、夕暮れ時大勢の男たちが円形に座り奏でられる響きによって、演奏者も聴衆もその雰囲気にのまれトランスするそうです。

 そのように精神的な反射も含めた「反射」反応の神秘を、擬似的に体験できる曲を書きたいと思い制作しました。"のまれる"雰囲気を体験していただきたいと思います。どうぞ楽しんで下さい。音大生ブログRankingに投票!

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2009-01-26

さぁ、満を持して初演だ。

前日の最終練習が終了。先週の先生のレッスン後、初あわせでしたが、格段に良くなりました。やるべきことが明確に見えたからだと思います。云々たとえ話をしてイメージを伝えてかつ、"具体的な手法・ポイントを明示する"必要が、練習時にはあるのだと思います。

『見透かされたらつまらない』

これは、いつも忘れてしまって、先生がおっしゃって思い出す言葉。演奏も演技も同じで。客が脚本を見ていなくても次の台詞が思いついてしまうような演技をしてしまうのは二流の役者で、普段目にする一流の役者にハッと驚かされるのは、次の一瞬が見えないから。

もっと簡単に言うと、演技でたとえれば、台本がある以上、演技者は開幕から閉幕までの「感情の推移」を知っている訳だけれども、それを知らないフリをして、あたかもその場で初めて感じたかのように表現できるのが良いですよね。

音楽もそうです。これから演奏する音楽の推移は知ってるけど、知らないふりをしてあたかもそこで自分がビックリしたかのように、自分で感じることが出来れば、自ずと良い演奏になると思います。

音楽にのめり込めばのめり込むほど、方向性を重視してしまって、何かをしようとしてしまうんだけれども、その発端は楽譜の中にしっかりと書かれているものそのものであって。何かしようと思っては、「見透かされてしまう」訳です。

エンタテイメントするということは、知ってるんだけど知らないフリをするという「ポーカーフェース」が重要なのかもしれません。

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明日の衣装。僕以外も全員黒ずくめ。
僕は礼服・黒ワイシャツ・ワインレッドのネクタイで行きます。

あぁ、さっきから武者震いが止まらないんだけれど、緊張なのか、雪かきして体が冷えたのか(笑)。

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090126230730先生用の楽譜3部

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2009-01-23

卒業制作曲、あわせを見て頂くレッスン

新曲「Love Earth」コチラで聴けます♪

今日も卒業制作曲の練習。多分、卒業試験前に合唱ホールで出来る練習は最後だと思います。あわせを何回かやってみて気づいたことは、この曲は体力がいる。あと、ハイになる必要がある(まぁこれは大前提かな)。

時間の前半を練習、後半を先生をお呼びしたレッスン。

「西洋音楽じゃないという点を考えて」
「良い子が歌ってます、という感じだから、もっとワルくなって」

たとえは違えど、僕が今まであわせをする中で言ってきたことと先生の言葉に違うところはなかったから、今回の曲については僕のイメージ通り上手くいってるんだと思います。

曲をまとめようともしなければいけない分、僕自身も本当にそこを強調していいのだろうか、という疑問というか不安があったから、その点において僕のなかでリミットをかける必要はないんだと思いました。よし、もっと素直にやっちゃおう。

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「作曲は発表してなんぼだから、演奏が大事だし、聴衆は大事だよ」、というのは先生がいつもおっしゃる言葉。だから僕は、卒業試験といえど、公開の卒業試験だから人をたくさん呼びます。僕の大切な友達・先輩・後輩・お世話になった方々,etc...にメールを書きました。さぁ27日に、この4年間の集大成を合唱ホールで叫びます。

演奏してくださる、新大室内合唱団のみなさんは、去年の全日本合唱コンクールで金賞を取っています。いつもは美しいハーモニーをきかせてくれる合唱団の、違った一面を引き出せればいいなぁと。

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彼らの定期演奏会を3回撮らせてもらいました。「お手伝いさんもどうぞ」と毎年集合写真にお邪魔して。今回は受付の手伝いをせず、撮影のみだったから普通の格好をしているもんで、すごい目立ってる自分(笑)。♪音大生ブログRankingに投票!

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2009-01-16

卒業制作曲練習中!

090116〈DAreflex〉練習中...

和太鼓の右奥、MacBookの前に座って後ろ振り返ってるのが私デス(笑)。

今週は、毎日昼休みのうち20分間、この曲の練習時間を設けて、参加できる人はできるだけしてもらうというスタンスで、曲の後半のランダム楽譜部分の練習をしました。

今日はそれに加え、合唱ホールでの機材を設置しての通し練習。初めて和太鼓と合唱が同時に奏でられました。練習中、定点カメラで録画しておいたので、ゆっくり見て、その場で気づかなかったことや、客席から見て気づくことなどを洗い出そうと思います。

演奏者のみなさんも、テスト時期だし、大雪の悪天候だしで、大変だと思うのに、毎日集まって下さって、本当に涙が出るくらい嬉しいです。

曲自体は通るようになったので、あとは音楽性の追求です。より良い演奏を求めて、練習を重ねていきたいと思います。

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〈DAreflex〉〜混声四部合唱と和太鼓とMax/MSPのための
演奏予定:
 1月27日(火)14:40頃〜@合唱ホール(卒業試験・初演)
 2月6日(金)14:40頃〜@合唱ホール(作曲セミナー)
 2月21日(土)19:00頃@新潟市音楽文化会館(卒業演奏会)

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音楽科某Y研究室の、2月の訪米のために、ビデオ制作をたのまれてやっています。今日も音楽科内の授業を2つほど撮影しました。去年は訪中ビデオかと思えば、今度は訪米かい!とツッコミつつ、今回は僕の独断と偏見による編集でよろしいそうなので、ちゃっちゃと良いもの作っちゃいましょう。納期は一月末。

北海道の友人しもつき氏と一緒に制作してきた曲、「Love Earth」が堂々完成しました。近日中に公開予定なので、お楽しみに!

今日帰ってきたらすごく疲れました。一週間よく頑張った、自分!水曜夜に喉に違和感を覚えて、鏡で見たらポリープっぽいものがあってヤバイと思ったけど、とりあえず痛みを感じないから良いんでしょうね。ここで気を抜いたら元も子もないから、土日ゆっくり休んでまた来週頑張ろう。♪音大生ブログRankingに投票!

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2009-01-10

卒業制作のプロトタイプその4(機材設置)

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卒業試験の会場となる、合唱ホールでのテスト。

・プロジェクターによる投影
・実際に使う和太鼓の音出し
・指揮者の位置決定(写真・和太鼓奥で手を挙げている笑)
・合唱団の位置決定(太鼓を左右から囲み、両側から向かい合って歌う)
・プログラムが機能するかチェック(→OK。次回、マイクで拾う和太鼓音と合唱の音量差をチェック)

プログラムが意図通り動いてくれたので、あとは演奏者の練習あるのみ、という感じになりました。曲の後半は、もうゲーム感覚でよろしいと思うので、演奏者にも楽しんでもらいたいと思います。

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修正したプログラムノート原稿を先生にチェックしていただき、一発OK。あとは、本当に演奏次第。どれだけ演奏してくださる皆さんをノせることができるかな。新しく「DAreflex」用メーリスも作ったので、短い間だけれども、意思疎通がんばりたいと思います。♪音大生ブログRankingに投票!

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2009-01-03

卒業制作のプロトタイプその3(プログラムノート案)

今日はMaxパッチの話じゃなくて、プログラムノートの方。卒業演奏会用のです。演奏会をする上で、やはりこういうところもしっかりやれた方が完成度高いと思うので。

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『DAreflex』〜混声四部合唱と和太鼓とMax/MSPのための〜

<きっかけ>
 人間の「反射反応」について、みなさんご存知かと思います。私が「反射」の不思議を一番感じたのは、顔をやけどした時でした。熱いものが顔全体にかかった瞬間に、手が勝手に動きそれを拭っていました。そしてあとから「あ、手が動いている」と気づくのです。
 自分が気づかずにそうしてしまっていることを、後からふと感じるととても不思議に思えます。それは、生理的な反射反応に限らず、例えばその場の雰囲気にのまれて動いてしまう…ということもあるかもしれません。
 そのように精神的な反射も含めた「反射」反応の神秘を、擬似的に体験できる曲を書きたいと思い制作しました。

<曲の構成>
 インドネシア・バリ島の音楽「ケチャ」から発想を得、リズムの組み合わせの面白さに、日本語の響きを加えた音楽です。演奏者は、曲の前半は記譜どおりの音楽を、曲の後半(スクリーンに文字が投影されてから)は4種類あるリズムパターンのどれかを、プログラムが決定する指示通り演奏します。

<プログラム>
 プログラムは、マイクで拾った音量によって、和太鼓のリズムを検知し続けています。太鼓の叩くリズムやテンポが変わることで、プログラムの決められた法則に従い、曲の後半に出てくる文字「ハ・ン・シ・ヤ」の、組み合わせや文字の大きさがリアルタイムに決定されます。表示される4文字は、ソプラノ・アルト・テノール・バスが演奏するリズムパターンの種類をそれぞれ指示しています。文字の大きさは、演奏するダイナミクスと対応しています。このように、リアルタイムに曲想を指揮することを目的としたプログラムです。

<反射-reflex->
 トランス状態も一種の反射から起こるものだと思います。ケチャは、夕暮れ時大勢の男たちが円形に座り奏でられる響きによって、演奏者も聴衆もその雰囲気にのまれトランスするそうです。
 トランスとまではいかなくても、意識しないで(できないで)そうしてしまう、ということは多々あると思います。私は、貰ったメールの一文を読んで、その瞬間から1時間ほど涙がとまらなくなったことがあります。初めてそういう泣き方をして、自分の意識の及ばない心の動きを感じられる、忘れてはいけない感覚だと思っています。
 みなさんも、心の中にあるそういう記憶を思い出しながら、聴覚だけではなく視覚的なものも含め、全身でこの曲を感じて楽しんで下さい。

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とりあえず書いてみました。長いかな?みんなのプログラムノート集めて編集するのは僕の仕事なので、他との兼ね合いも見ながら塩梅をとろうと思います。

今回の曲は、年度初頭に宣言している、この記事の後半に書いてある「反射」からの流れです。うまくいくかいかないかは、これから2週間くらいの行いにかかっています。

第27回新潟大学教育学部音楽科卒業演奏会のお知らせ
 2009年2月21日(土)午後〜夜 at 新潟市音楽文化会館大ホール
※今のところ私は第二部(夜)の方に出る予定です。♪音大生ブログRankingに投票!

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今日水泳に行きました。何年ぶりでしょう、高校の時に行った記憶がないので、もしかしたら中3以来? 友人と行ったのですが、友人も水着を持っておらず、一緒に買いに行って(選ぶのに2時間かけてw)、そしてプールで気合い充分の2時間を過ごしました。

僕は平泳ぎしか出来ないので、ひたすら平泳ぎ。友人にフォームを見て貰って、そこは大丈夫そうでしたが、思ったより息が続かない。潜水してプールの半分までしか行けませんでした。今年中に25m潜水で行けるように、今年の目標「定期的な運動」は、水泳を週1回は行く!で行こうと思います。

コスポ(新潟西総合スポーツセンター):プール450円(大人),ロッカー20円。

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2008-10-12

【教えたいシリーズ】音楽史〜現代アート・現代音楽はなぜ生まれたか〜

今日も、私が大学4年間で学んだ「面白い!」と思ったことを、誰にでもわかりやすく書いていこうと思います。感想、質問などぜひお寄せ下さい。

10/11 Max/MSPとは?読むだけで使いたくなる解説
10/12 音楽史〜現代アート・現代音楽はなぜ生まれたか〜
10/13 MIDIとデジタルオーディオは何が違う?
10/14 「楽典」を知識としてではなく実感するために

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みなさん「現代音楽」を聞いた事があるでしょうか。聞いたことがある方は、「理解できない音楽」であるとか「メロディーがあるようなないような不快な音楽」などといった、あまり良いイメージを持っている方は少ないかもしれません。

理解されない理由の一つが、現代音楽においては「無調」の音楽がつくられることが多いということにあります。「無調音楽」の対義語は「調性音楽」です。普通に耳にすることが多い音楽(クラシック音楽、ポップスなど)が「調性音楽」です。「無調」の意味については後で触れるとして、調性音楽の話を進めたいと思います。

例えばギターでビートルズの曲を弾くと、「この曲はキーが"E"」という様な言い方をします。クラシックでも「ベートーヴェン交響曲第9番"ニ短調"」などと言います。この「調(キー)」という概念が音楽の中での対比を作る役目を担っています。

芸術においては何かを表現するために「対比」が必要になります。対比をすることによって「緊張感」が生まれ、聴衆はそれにひきつけられるのです。緊張をすると、「緩和したい」と思うのが心理で、それを求めるから、その曲を「聞きたい」という気持ちが生まれる、という仕組みになっています。

小学校の時、お辞儀の音楽(3つの和音)がありましたよね?
「チャーン(気をつけ)・チャーン(礼をする)・チャーン(戻して気をつけ)」
 note聞いてみましょう-1

1つめの和音が鳴り、2つめの和音が響いた後に…
3つめの和音がいつまでも鳴らなかったら!
 note聞いてみましょう-2

3つめの和音を聞きたくてしょうがない衝動にかられるでしょう。
 note聞いてみましょう-3
解決したときの得も言われぬ安心感を感じられるでしょうか。これが音で表される緊張と緩和です。これが複雑に絡み合い、音楽になります。

音楽の歴史は、この「緊張感」を追い求めていく歴史とも言えます。では、「現代」という時代に流れ着くまでの、おおまかな流れをこれから説明します。

fish fish fish

<18世紀後半〜>

芸術作品には、その当時の生活スタイルが作品に反映される場合が多いです。例えばW.A.モーツァルトの音楽は、その当時の人たちの生活サイクルである、

朝は安心できる「家」で起き、昼は「仕事場」に出かけて緊張をし、夜また安心できる「家」に戻ってくる。

という「家」と「仕事場」という対比が、曲にも表されています。有名な「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(セレナーデ第13番ト長調K.525第1楽章)を聞くと、曲を大きく「A-B-A'」と分けることができます。(最初のAは繰り返しをするので、「A-A-B-A'」)
 note聞いてみましょう-4(YouTube)

Bの部分がどこだかわかりますか?3分28秒以降ですね。ちょっと暗い感じでどこへ行き着くかわからないような部分がBの部分です。曲全体としてはほんの少しですね。これが当時の「緊張」の部分です。4分0秒からまたAに戻ってきます。

でも、今の我々は意識して聞かないと、このB部が緊張の部分であるということがわからないと思います。我々の耳はモーツァルトの音楽を単なるBGMとして聞けるようになってしまっているのです。(参照したYouTubeの映像は随分わかりやすく抑揚をつけた演奏です)。

それはなぜかというと、時代が下ってくると、例えば皆が皆、家のある生活をしているわけでもなくなってきたりして、A-B-Aのような単純な形式に当てはまらなくなってきます。また、慣れによって緊張して聞けていたものが、だんだんと普通になってきてしまうのです。そして、さらなる緊張を求めて作品を作り続けます。この衝動により、歴史が動きます。

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<19世紀後半〜>

モーリス・ラヴェルのバレエ音楽「ボレロ」は聞いたことがあると思います。

    「タン・タタタ/タン・タタタ/タン・タン、
     タン・タタタ/タン・タタタ/タタタタタタ」


というリズムに、2パターンのメロディがずっと続いて行く音楽です。それだけを、なんと15分間も続けることによって、緊張感を最後まで持続して行くという、聴衆をじらして、じらして、じらし倒す音楽です。
 note聞いてみましょう-5 Part1(YouTube)
 note聞いてみましょう-5 Part2(YouTube)
カラヤン指揮の映像です。途中で切れて2分割なのが残念ですが、冒頭の緊張感のすさまじさがこの曲の全てを物語っています。後半の、最後までのクレッシェンドが、ものすごい効果的に聞こえるのがわかります。まだ大きくなるのか、まだ大きくなるのか、と、ものすごい緊張感を抱かせ、華々しく終わります。(ボレロは1928年に作曲されているので年としては20世紀ですが、調性音楽なので19世紀の音楽に分類しました。)

ただし、モーツァルトのようなわかりやすい感じとは性質が違うことは、聞いて理解していただけると思います。

confident confident confident

<20世紀>

音楽における「調」の概念は、作曲家にとって信じられる「神」に等しいものでした。

19世紀末に発表されたニーチェの論文『ツァラトストラはかく語りき』に出てくる「神は死んだ」という有名な言葉があります。ここまで時代が下ってくると、音楽は「調性」で緊張感を生み出し表現することに限界がきていました。しかし調性は「神」という認識でしたから、作曲家は率先してそれに目を向けることはできませんでした。

そこに、ニーチェが先んじて発した「神は死んだ」という言葉がその状況を払拭し、新たな方向性に気づかせてくれます。これは音楽に限らず、美術・文学など芸術全般に言える事で、現代アートの発端と言っても過言ではないでしょう。

そして、20世紀に入りいよいよ作曲家は「調性」を脱ぎ捨て、さらなる刺激を求め、「無調」の曲生み出すようになります。ちなみに「無調」という言葉は「調が無い」という意味であり、「一本調子で無調」という意味ではないのでご注意を。

音楽では「調性音楽」から「無調音楽」へ。美術では「写実的」なものから「抽象的」なものへ(例:ピカソの作品)。文学では、主人公が「名高いヒーロー」から、「どこにでもいる普通の人」になったり(例:フランツ・カフカ『変身』。しかもハッピーエンドではない)などと、神(常識・定石)とも言えるものを打ち壊し、神の為ではなく、「何か」の為に表現・創作をする必要が出て来たのです。

「何か」とは何なのか、それは創作者それぞれの思うところなのです。皆が同じ何か(=神のようなもの)のために創作をするという必要、必然性がこの現代にはなくなってしまいました。

しかし、今も昔も変わっていない事は、「目的」があって作品をつくる、ということです。その「目的」が聴衆にわかる音楽、それが「良い作品」と言われるのです。…万人に認識される「美しさ」はあとからついてくるのです。

当然ですが、モーツァルトやベートーヴェンの音楽が「現代音楽」であった時代があったわけです。例えば、ベートーヴェン「交響曲第9番」は全4楽章からなりますが、第4楽章は当時難解すぎて、再演の際演奏されなかった、という逸話があります。現在ではその第4楽章を聞いても何も不思議に思わないし、美しいと感じることができると思います。

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とはいっても…せっかくですから「現代音楽」を楽しみたいですよね?

現代という時代になって、調性を脱ぎ捨てた作曲家は、それにかわるものがないかと、いろいろなことを考えました。例えば楽器の奏法であったり、作品という概念についてであったり、と様々ですが、共通しておおまかに言えることといえば「音の響きそのもの」に関心がうつった、という事でしょう。

だから、現代音楽を聴く際は、「音楽にはメロディーがある」とか「規則正しいリズムに乗っ取っている」などといった固定観念を全て排除し、音の響きそのものをきくようにしてみてください。また、その曲の特徴的なものを一つみつけて、それを追っていってください。これだけで、随分と楽しめるようになると思います。

では、現代音楽の作品を紹介したいと思います。私が好きで、かつ、わかりやすく面白い曲を出します。

・エドガー・ヴァレーズ作曲「イオニザシオン(電離)」(1931年)
 note聞いてみましょう-6(YouTube)
西洋音楽史上初めてのパーカッション・アンサンブル曲です。「音の響き」が考えられるようになったからこそ、打楽器だけの音楽が生まれたのです。グチャグチャに演奏しているように見えるかもしれませんが、とても計算しつくされています。特徴的な「タカタカタッ」というリズムだけでも追ってみると面白いと思います。

・ルチアーノ・ベリオ作曲「セクエンツァIII」(1965年)
 note聞いてみましょう-7(YouTube)
セクエンツァ・シリーズは楽器の奏法の限界に挑戦した曲集です。楽器が奏でられる響きの可能性を広げるために作曲されました。その3曲目であるこの曲は女声のために書かれています。「歌う」という固定観念を取り払って、喋ったり咳をしたりと、音色の追求なのです。歌っているのは、夫人のキャシー・バーベリアンです。

また、電子音楽・コンピュータ音楽という手法も、新しい「音の響き」を求めていた作曲家の目にとまったことにより、可能性が模索されるようになったのです。

・「DApendulum」
 note聞いてください(YouTube)
手前味噌で大変恐縮ですが、私が作ったコンピュータ音楽作品です。こんなところに並べていい作品ではないのですが…。フルートとMax/MSPとオブジェのための作品です。デジタル機器に支配されている世の中に警鐘を鳴らそうと、吊されたノートパソコンを揺さぶるオブジェの動きをきっかけに、奏でるフルートの音が音響処理されていく、実験的な作品です。詳しくは10/15に書く予定です。

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現代音楽を聴く機会がありましたら、ぜひこれらのことを思い出してくださいね。

もうひとつ、書き加えなければいけないことは、このお話は「西洋」という一地域の音楽の歴史であるということです。別の地域では独自の歴史が流れています。

歴史を学ぼうとするときは、まず「大まかな歴史の移り変わり」と、「なぜ歴史が動いたか」という観点で勉強すると、すんなり理解できます。「現在の状況は、過去にどういうことがあったからなのか」を知ることも楽しいです。大まかにつかんだ後、詳しく勉強しましょう。細部から勉強してしまうと関連がわかりにくくなります。音大生ブログRankingに投票!

明日は、「MIDIとデジタルオーディオは何が違う?」と題して、「音とは何か」に触れつつ、書きつづってみたいと思います。お楽しみにclip 河合達人

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あとがき(閉じていますので、「続きを読む」をクリックしてご覧下さい)

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2008-10-10

これから年末にかけてやること。

卒業までにしなければならない「一番大きな事」は、ここには書けないのでそれは置いておいて。これから私が、年末までにかけてやることの紹介です。

1.文科省GP(Good Practice)事業「新潟発・日本の文化・生活」ビデオ音楽担当
2.病院コンサート 富永草野病院第57回ロビーコンサート出演
3.作曲コンクール応募
4.資格試験、プロモーションビデオ作成、撮影…

☆★☆★

1.について

このビデオは、提携している中国の教育大学との文化交流の際に使われます。11月末に中国を訪問し、向こうの大学で上映会を行います。中国において日本の学生が作った映像が流れることは珍しいので、500人以上の視聴予定があるそうです。

映像制作には直接的には関わらず、仕上がった映像に音楽をつけることを行います。作曲を学んでいる研究室の学生全員で取りかかりますが、映像音楽を頻繁につくっている私が、技術的なリーダーを先生から任されています。

映像の時間が約1時間と長いため、膨大な作業になりますが、着々と進めていきます。

2.について

毎年11月に出演させていただいている、病院コンサートです。音楽科有志3人組「クローバー」として、今年で4年目になります。学生という身分での参加は最後になるので、有終の美を飾りたいと思います。11/15(土)15:00〜16:00です。

3.について

やります。2つのコンクールに応募予定です。すでに完成している曲を応募するので、これからどうの、っていう訳でもないですが、やっぱり気分的にね(笑)。

4.について

1つ資格試験を受けます。あえて何の資格か伏せておきますが。以前より受けようと思っていたのですが日程が合わず、実は今年も都合悪かったのですが、先約の用事が延びたので受験できることになりました。多分受かると思います。

11月末に行われるあるイベントで、自分の曲のプロモーションビデオが上映される話を頂いたので、作ります。プロットは出来てるので、撮影が終わればすぐ完成するでしょう。

撮影のお仕事がちらほら。明日も撮影が入ってます。屋外ロケなので雨の予報が気になるところです…。good音大生ブログRankingに投票!

☆★☆★

ふと気づいたのですが、いつからでしょう、ブログを内輪向けな感じに書き始めたのは。ブログを始めたときはもっと説明的な文章を書いてた気がします。もう学生気分でいられないことを自覚するためにも、「わかりやすく」、自分をちゃんと説明・プレゼンする文章書くよう、もとに戻して、正していきたいと思います。

今日はレッスンでした。これからの事を相談して、賛成してもらいました。あと、卒業制作とは関係ないけれど、無限音階のパッチを見せたら、とても面白がってもらいました(笑)。

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2008-10-09

卒業制作のプロトタイプその1

僕の卒業制作は、もちろん作曲です。自分の決めた課題にとりかかることができた大学4年間は本当充実したものだったと思います。これまでの3年半は、自分の限界に挑戦することを必ず掲げていたので、内面と向き合い苦しみながら楽譜に向かっていました。そうすることで、僕は音楽に対して素直になることができるようになったと思っています。

そのすべての苦しみを消化し、「僕らしい」曲を最後につくって卒業します。

合唱と和太鼓とMax/MSPのための『DAreflex』です。技術と音楽の調和を知ることが出来た今、するべきは、楽しみながら曲をつくることなんじゃないかな、と思っています。

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これ、9月7日段階のMax/MSPパッチのプロトタイプ(一部)です。映像にしたほうがわかりやすいんですけどね。今日は画像だけにしておきましょう。

視覚的なインパクトに加えて、音楽的に実感できる・わかるものを素直に目指して制作を進めています。あと半年もないですね、来年2月21日の卒業演奏会を楽しみにしていて下さい。

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2008-07-18

振り子 -pendulum-

080718150730h本日合唱ホールでのリハ

歴史の流れは右に行ったり左に行ったり、真ん中で止まることは決してない、振り子のようだ。

使用機材:オブジェ(iBook、Wiiリモコン、携帯電話、園芸用棒、バネ、ゴム、布など)、MacBook(Max/MSP、Mbox2)、スピーカ、液晶ディスプレイ、フットスイッチ、マイクスタンド、マイクなど

マラソンコンサートは名前を改め、「Home Coming Concert "輪"」になったらしい。

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