カテゴリー「Max/MSP」の記事

2009-03-07

『DAreflex』(コンピュータ音楽作品)解説

『DAreflex』 for Chorus, Japanese Drum & Max/MSP - Kawai Tatsuto
(ディー・エー・リフレックス〜混声四部合唱と和太鼓とMax/MSPのための/河合達人)

MP3版(320kbps)ダウンロード→こちら

<概要>
 人間の「反射反応」について、みなさんご存知かと思います。私が「反射」の不思議を一番感じたのは、顔をやけどした時でした。熱いものが顔全体にかかった瞬間に、手が勝手に動きそれを拭っていました。そしてあとから「あ、手が動いている」と気づくのです。

 自分が気づかずにそうしてしまっていることを後からふと感じると大変不思議に感じます。それは、生理的な反射反応に限らず、例えばその場の雰囲気にのまれて動いてしまう…ということもあるかもしれません。

 「トランス状態」も一種の反射から起こるものだと思います。インドネシア・バリ島の音楽「ケチャ」は、夕暮れ時大勢の男たちが円形に座り奏でられる響きによって、演奏者も聴衆もその雰囲気にのまれトランスするそうです。

 そのように精神的な反射も含めた「反射」反応の神秘を、擬似的に体験できる曲を書きたいと思い制作しました。"のまれる"雰囲気を体験していただきたいと思います。どうぞ楽しんで下さい。音大生ブログRankingに投票!

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2008-12-08

卒業制作のプロトタイプその2

紆余曲折有り、だからこそ面白いのが創作。だけど行き詰まったりすると、モチベーション維持って大変ですよね、みなさんそういう時はどうしていますか?

でも行き詰まったときこそ、ずっとそればかり考えられる時間をとることができれば、絶対違う手法を思いついたりして、うまくいくんだと思います。要は、でーんと心を構えて、時間も惜しまず考え続けるだけの余裕があるかどうかってとこなんでしょうね。

scissors scissors scissors

卒業制作曲の『DAreflex』ですが、楽譜の方はなんとかなりそうなのですが、一番重要な「プログラム」の方をようやっと書き始められて…。早いうちにテストしてみないといけないと思います。

0812071

0812072(プロジェクタ画面)

文字を表示させるシステムがLCDオブジェクトだと重くて。ようやっとJitterに手を出すことになりました。多分、こっちの方がプログラム的にもマシンパワー的にもうまくいきそうな感じなので、とりあえずこっちで進めてみることにします。

bleah bleah bleah

とりあえず、明日中には形になってテストできる状態のものを完成させる!今年中に一回二回はテストしたいな…。何せ演奏してくださる方が多いので、慎重にいきたいと思います。4年間の集大成、必ず成功させますから。♪音大生ブログRankingに投票!

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2008-10-15

『DApendulum』(コンピュータ音楽作品)解説

『DApendulum』 for Flute, Max/MSP & Objet - Kawai Tatsuto
(ディー・エー・ペンジュラム/河合達人)

note note note

<概要>
 デジタル機器に支配されている世の中に警鐘を鳴らそうと、ノートパソコンを揺さぶるオブジェの動きをきっかけに、奏でられるフルートの音が音響処理され音楽となり、その音を楽譜化しその場で初見演奏する、実験的な作品です。音大生ブログRankingに投票!

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2008-10-13

【教えたいシリーズ】MIDIとデジタルオーディオは何が違う?

芸術の秋と言いますが、この時期は演奏会が多くなります。思うに、日本の夏は湿気が多いので、楽器にとってよくないからなのかな、と勝手に想像しています。

さて今日は、「音」という物理現象から、コンピュータ音楽までを網羅したお話です。感想、質問などぜひお寄せ下さい。

10/11 Max/MSPとは?読むだけで使いたくなる解説
10/12 音楽史〜現代アート・現代音楽はなぜ生まれたか〜
10/13 MIDIとデジタルオーディオは何が違う?
10/14 「楽典」を知識としてではなく実感するために

karaoke karaoke karaoke

<音は「波」である>

「ピーポーピーポー…」とサイレンを鳴らす救急車が目の前を通り過ぎ、遠くなっていく瞬間に、その音はどんどん低くなっていきます。

音というのは不思議な、「波」の性質を持つ自然現象です。救急車の例は「ドップラー効果」という名前がついていて、波を性質をもつものに起こります。

波と波が重なり合うとき、その波の高さは足し算で計算できます。例えば、流れるプールで盛り上がった波と波がぶつかる所に居ると、ものすごく盛り上がる高い波になるのを想像できますよね。ということは…、盛り上がった波と、へこんだ波がぶつかると、どうなりますか?打ち消しあって、ほとんど水面は動かなくなります。

これを音で再現することが出来ます。ある音がスピーカーから鳴っているときに、別のスピーカーから、打ち消しあうような逆の波形の音を出すと、音が消えます。これは、実際、騒音対策などに利用されています。実感してもらうために、みなさん自身で体験できるようなプログラムを作りました。

081013

clipダウンロード 081013.zip (50.4K)

このプログラムは「左右2つのスピーカーから、お互いを打ち消しあう波形の音を鳴らし、実際に音が消えるのを実感する」ためのものです。スピーカー2台が必要です。(ヘッドフォンなどの耳に直接音を入れる機器では体験できません)。

Max/MSPについては10/11の記事をご覧下さい。Max/MSPランタイムをインストールし(インストール済の場合はしなくてOK)、上のファイルをダウンロードします。ダウンロードしたファイルを展開し、[081013.maxpat]を開いてください。それでは、操作方法を説明します。

イ. (1)の[read]をクリックし、オーディオファイルを読み込みます。同梱の[081013.wav]でもいいですし、WAVファイルかAIFFファイルならお手持ちの物でもOKです。

ロ. (2)の赤色の中をクリックし、×マークをつけます。これで、最初に読み込んだオーディオファイルが、左チャンネルから再生されます。

ハ. それでは、実験開始です。(3)の灰色をクリックすることで、右チャンネルから打ち消し合う音を再生します。どうですか、音量が極端に小さくなったのがわかりますか?

ニ. 今度は(4)の灰色をクリックして、×マークを消しましょう。これで、左チャンネルからの再生が止まります。すると、打ち消しあいがおこらなくなるので、また大きな音で聞こえます。(3)と(4)を交互につけたり消したりしてみましょう。

ホ. 音が出ない場合は、まずスピーカーがしっかりと接続されているかを確認してください。また、ボリュームコントロールなどで音量がミュート・最小になっていないか確認してください。それでも駄目な場合は、(5)をダブルクリックしてください。[DSP Status]という画面が出てきますので、[Driver]の欄をクリックし、適当なものに変更してみてください。

ヘ. (6)のつまみを動かすことで、ボリュームを変えられます。

同梱の[081013.wav]を読み込むと一番わかりやすいと思います。理論上はまったく音が聞こえなくなるはずですが、壁などに反射する音があるため、完全には音が消えません。しかし、音が痩せて小さくなるのは実感してもらえたと思います。

eyeglass eyeglass eyeglass

<コンピュータは「数字」だけを扱う機械>

コンピュータで音楽を扱う話をする前に、コンピュータのことについて少しお話します。

ここで、ショックなお知らせです。実は、「コンピュータは”数字”だけを扱う機械です」。…不思議に思うことでしょう。「だって、こうやって文字を表示できるじゃない!」と言われそうです。

実は、この文字でさえコンピュータ内部では数字として扱っています。下の表をご覧下さい。

 12345
1
2
3
4


         

これは今、私が適当につくった表です。「あ」=「1,1」、「い」=「1,2」、「う」=「1,3」、…「て」=「4,4」、「と」=「4,5」というふうに数字に置き換えてみました。小学校の頃、友達同士でつくった暗号表みたいですね。

この表に従った場合、「さつえい」という文字は、コンピュータには「(3,1)(4,3)(1,4)(1,2)」と記憶されるのです。このように、コンピュータは、あらゆることについて、数字に置き換える表を持ち、数字だけを記憶します。

一見面倒くさそうですが、数字だけを扱うことで機械の構造が簡単になるので、コンピュータを作った人がそうしたのです。

では、「音」はどうやって表せばいいでしょうか。「文字」は簡単に表にすることができましたが、先ほど説明したとおり音楽は「波」なので、ちょっとやっかいです。

smile smile smile

<波形を数字で表す>

波を数字におきかえるために、まず、グラフで表します。

0810132

緑色の波形を、コンピュータが理解する「数字」にするために、以下のような表をつくります。横がx軸、縦がy軸。y軸の値は整数とし、近い方の数字をとります。

x軸 0 1 2 3 4 5 6 7 8910111213141516
y軸 0 2 3 4 4 4 3 2 0-1-3-4-4-4-3-20

コンピュータはこのように、波を数字に置き換えてたあと、

(0,0)(1,2)(2,3)(3,4)(4,4)(5,4)・・・

といった具合に記憶していくのです。

さて、ここで気づいてほしいことは、「波形を区切った」ということです。このような数字の置き換え方をすると「連続的」でなくなります。この非連続的であることを「デジタル」と言います。

さてここで、デジタルの「非連続である」ということがどういうことか、実例を挙げます。先ほど出来た表を見ながら、波形を作り直してみましょう。小学校でやったグラフの練習問題のように、点を書いてから、線で結びます。

線の結び方が少し特殊です。線は斜めに引かず、x軸方向に伸ばしてから、次の点へ行きます。これはパソコン内部での決まりです。

0810133

オレンジ色で示した波形は、もとの緑色の波形よりいびつになってしまいましたね。というより、ほとんど違いますね。区切り方がおおざっぱでしたからこうなりました。例えば、先ほどの2倍区切って表を作ったとします。まず、表が以下の通り。

x 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.04.55.05.56.06.57.07.58.0 8.5
y 0.0 1.0 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.0 4.04.03.53.53.02.01.50.50.0 -0.5
9.0 9.5 10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.513.013.514.014.515.015.516.0
-1.5 -2.0 -3.0 -3.5 -3.5 -4 -4 -4-3.5-3.5-3.0-2.5-1.5-1.00.0

この表から、波形を作り直してみると・・・

0810134

このようになります。まだいびつですが、緑色の波に近づいたのが分かると思います。これを限りなく多い回数で区切ることが出来れば、もとの波形とほぼ同じ物をつくることができます。

これではじめて、コンピュータで音を扱うことが出来るようになります。これを「デジタルオーディオ」と言います。

現在デジタルオーディオの標準的な音質である「CD」の音は、x軸方向に1秒あたり44,100回、y軸方向には65,536回区切った数字から生み出されている音波です。

foot foot foot

<音は波。では、音楽は?>

こうして、コンピュータで「音」を扱うことが出来るようになった、ということは「音楽」も扱うことができるようになったということです。なぜなら、「音楽」は「音」だから、「音楽」も「波」なのです。

ただ「音楽」には、「音」にはない性質があります。それは「楽譜がある」ということです。

楽譜は自然現象ではありません。だから、波ではありません。楽譜は、拍子・調号・演奏速度・音符・強弱などという情報が記されている「文字のようなもの」だと言って良いでしょう。楽譜を数字に置き換えて記憶したものをMIDIファイルと言います。

具体的に例を示してみましょう。それでは、以下のように「数字に置き換える」とりきめをしたとします。

0810135

「4分音符のミ」=「3,2」、「8分音符のラ」=「6,3」といった具合です。それでは、以下のような楽譜は、どのように数字に置き換えることが出来るでしょうか。

0810136

(5,1)(6,2)(5,3)(3,4)(2,4)

となりますね。もちろん、「楽譜」にはピッチと音価(=音の長さ)だけではなく、複合的な情報が含まれていますから、こんなに単純ではありませんが、これがMIDIのイメージです。(ちなみにMIDIはMusical Instrument Digital Interfaceの略で、訳せば「楽器のためのデジタルな規格」といったところです。)

music music music

ここまでの説明で、「デジタルオーディオ」と「MIDI」が根本的に違うということを理解して頂けたでしょうか?デジタルオーディオは音波を数字にしたもの、MIDIは楽譜を数字にしたものです。

その違いによって、どのような特徴があるかを説明します。

デジタルオーディオは、記録する時間が長ければ長いほどデータが増えます。MIDIは音符が多いほど(楽譜情報が多いほど)データが増えます。デジタルオーディオは、CD音質の場合1秒で4万以上のデータになりますが、MIDIにおいて一秒あたりにそんなに楽譜情報はないので、MIDIファイルは大変軽いデータになります。

デジタルオーディオは波形なので、再生スピードを変えると、ピッチが変わってしまいます(2倍速で再生すると、オクターブ高い音で鳴ってしまう)。MIDIは楽譜情報なので、転調したりとか、音の間違いを修正することが簡単ですし、ピッチをかえずに再生スピードを変えることも簡単にできます。

MIDIは楽譜情報なので、「音源」と呼ばれる、あらかじめ用意された音がないと音として聞こえません。「音源」にもいろいろな種類があるので、再生環境によって、出てくる音が違います。デジタルオーディオは波形そのものなので、どこで再生しても同じ音です。

・・・などなど、挙げればきりがないのですが、それぞれに特徴があり、実際に身近なところで使われています。関連する単語を挙げてみましょう。

MIDI…カラオケ、携帯着メロ、エレクトーンのフロッピーディスク、電子ピアノ・電子ドラムなどの電子楽器
デジタルオーディオ
…CD、MP3、MD、DVD、携帯着うた、USBオーディオ、S/PDIF接続、デジタル放送

rvcar rvcar rvcar

DTM(デスクトップミュージック)が広く受け入れられるようになった理由は、MIDIが普及したことが大きな要因です。パソコンが現在のように性能が良くなかった10年前、デジタルオーディオ処理はまだ大変な負担でした。MIDIは、先述のように「軽いデータですむ」点と、「編集の容易さ」により、楽曲制作に広く利用されるようになったのです。

今では、デジタルオーディオも簡単に編集できるほど高性能なパソコンが一般化しました。技術はさらなる発展をとげ、例えば、MIDIで操作するデジタルオーディオ音声合成ソフトウェア『初音ミク』や、DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるMIDIとデジタルオーディオを統括したシステムが生まれ、それぞれが融合して区別が付かなくなってきています。

しかし、何事を勉強するにも、基本は大事です。この区別をしっかりと理解しDTM・コンピュータ音楽を扱う人が増えることを願います。音大生ブログRankingに投票!

明日は”「楽典」を知識としてではなく実感するために”と題して、効率よい楽典の勉強法について書きたいと思います。ようやく本家サイトの「楽語ゴロ」について言及できます…!笑 お楽しみにclip 河合達人

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2008-10-11

【教えたいシリーズ】Max/MSPとは?読むだけで使いたくなる解説

今日から4日連続で【教えたいシリーズ】を読み物として書きつづっていきたいと思います。

10/11 Max/MSPとは?読むだけで使いたくなる解説
10/12 音楽史〜現代アート・現代音楽はなぜ生まれたか〜
10/13 MIDIとデジタルオーディオは何が違う?
10/14 「楽典」を知識としてではなく実感するために

私が大学で勉強をして、面白い!と思ったことをぜひ誰かに伝えたいという気持ちのもと、誰にでもわかりやすく書いていこうと思います。感想、質問などぜひお寄せ下さい。

cancer cancer cancer

第一回目の今日は「Max/MSP」についてです。最近このブログで頻繁に登場するこの単語は、コンピュータ音楽用ソフトウェアの名前です。今日のお話はコンピュータで音楽制作をしたことがない人は少し難しいかもしれませんが、ゲームかパズルだと思って読んでみてください。

「Max/MSP」がどういうソフトであるか、ということを言葉で説明することは、とても難しいことです。「音楽用プログラミング言語」と言うことは出来ますが、よくわからないと思います。ですから、実際の操作を見てもらうことが一番の説明になるでしょう。

では、まず最初に目標を設定。「1秒に2000ずつ増える関数」をMax/MSP上で表します。

1Max/MSP Version5のアイコン(MacOSX版)

ソフトを起動し、[File]→[New Patcher]をクリックします。次のような画面が出てきます。

2

この「パッチャー」と呼ばれる白紙状態の画面に、いろいろなパーツを置き、組み合わせながら、面白いことをします。

パッチャー上でダブルクリックすると、次のような枠が現れます。

3

今回は「object(オブジェクト・ボックス)」、「message(メッセージ・ボックス)」、「button(ボタン)」、「number(ナンバー・ボックス)」を使います。それぞれクリックすると、パッチャー上に現れます。

では、「object」をクリックして、パッチャー上に表示させます。
カーソルが点滅しているところに「clocker」と書きます。入力は全て半角です。

4

オブジェクト・ボックスの中に「clocker」と書くことで、このボックスは「1秒間に1000数えるタイムウォッチ」の機能を持つことになります。これはこのソフトの決まり(定義)です。

「オブジェクト・ボックス」は、その中に書く文字によって色々な機能を発揮するボックスです。

つぎに、「number」を出し、パッチャー上に表示。[clocker]の左下出口からドラッグをし、ナンバー・ボックスの左上入口付近で離します。線が自動的に出て、繋がります。

5

こんな調子で線を繋ぎながら、つくっていきます。[clocker]は左上に[button]を繋ぐことで機能します。同じ調子で[button]を表示させ、線を繋ぎます。

6

ここで、ちゃんと[clocker]が動くかのテストです。パッチャー左下の[Lock]をクリックしたあと(↓画像参照)、

7クリックする前の状態。クリックすると、パッチャー上の点が消える。

「button」をクリックしてみます。ナンバー・ボックスに刻々とかわる数字が表示されます。

8

「Lock」をクリックする前(パッチャー上に点がある状態)を編集モード、「Lock」をした状態を実行モードと言います。

scissors scissors scissors

ここまでで「1秒間に1000ずつ増える関数」ができあがりました。目標は「1秒間に2000」ですから、これを2倍すればいいですね。

「Lock」をクリックし、パッチャー上の点が見える「編集モード」の状態にしてから、下のように組み立てます。

9

上から順に「button」、「object(”clocker”と入力)」、「number」、「object(”* 2”と入力)」、「number」です。

「*(アスタリスク)」は「かけ算」の意味です。「*(アスタリスク)、半角スペース、掛ける数」と入力します(これは定義)。

これで完成です。実際に動かすために「Lock」をクリックし実行モードにしたあと、一番上の[button]をクリックすると、「1秒に2000ずつ増える関数」が実行されます。

happy01 happy01 happy01

さて、この状態だと、いつまで経っても数字を数えるのが止まりません。では目標設定。「5秒経ったら止まる仕掛けをつくる」ことをしてみます。

10

これが答え(のひとつ)です。「”* 2”オブジェクト」の左下に、オブジェクト・ボックスで「sel 10000」と入力しました。selは「select」の略で、10000を選ぶ、ということです。10000という数字が入力されたら、左下から信号を出すという機能があります。この信号のことを「バン(bang)」と言います。

一番左下にあるのは、「message(メッセージ・ボックス)」に「stop」と入力したものです。これは、「clockerオブジェクト」の左上に繋げます。

「clockerオブジェクト」は「stop」メッセージを受け取ると、数字を数えるのをやめ、「bang」メッセージを受け取ると、数え始めます(定義)。冒頭で、clockerオブジェクトを動かすために、「button」をつなげましたね。「button」は、クリックすると「bang」が出る仕掛けになっているのです(定義)。

今回、「selオブジェクト」を、「* 2オブジェクト」から繋ぎましたが、例えば、「clockerオブジェクト」から繋いでもOKだということがわかるでしょうか。その場合は「sel 5000」になりますね。

11左右とも機能は同じ

このように、同じ機能を実現するためのアプローチはたくさんあります。今回は「clocker」オブジェクトを使用しましたが、例えば「line」オブジェクトなどを使用しても同じ事ができます。オブジェクトの種類を色々学び(定義の勉強)、その組み合わせを考え(定義の応用)、自分の思い通りのプログラミングをすることができます。

さて、ここで初めて「プログラミング」という言葉を用いましたが、どうですか、プログラミングしているという感覚ですか?小難しい文字列を並べるというイメージのプログラミングとは違った楽しさがあると思います。「線でつないでいく」という直感的な操作が印象的だと思います。

catface catface catface

では最後に、ちょっとしたゲームをつくることにしましょう。目標設定「5秒スタジアムをつくる」。ご存知の方も多いと思います、5秒きっかりでストップウォッチを止めるゲームです。

なんてことはないですね、今まで使ったことを駆使して、これで完成です。

12

左の[button]をクリックした後、いいかなと思ったところで[stop]をクリック。5000が出れば成功!(ナンバー・ボックスを見ながらやっても、かなり難しいです。1秒間に1000数えてますから、マウスクリックに1000分の1秒の精度を求められます)

これだけだと味気ないので、「判定をする」プログラムを付け加えましょう。

13

オブジェクトの説明をします(これらは定義)。

「/ 10」オブジェクト・・・「/(スラッシュ)」は「割り算」の意味です。「/(スラッシュ)、半角スペース、割る数」と入力し、左下より計算結果が出力されます。

「== 500」オブジェクト・・・「==」は「イコール」の意味です。「==(イコールイコール)、半角スペース、判定する数」と入力し、左下より正しい場合は「1」、違う場合は「0」が出力されます。

「makenote」オブジェクト、「noteout」オブジェクト・・・詳しく説明しませんが、これらのセットでMIDI音源を鳴らすことが出来ます。もともと音楽のためのプログラミング言語なので、音や映像などを生み出すオブジェクトが多数用意されています。(ちなみにこのパッチでは、「ベロシティ(音量)120、デュレーション(長さ)200ミリ秒、チャンネル10で出力」する設定になっています。clockerオブジェクトが動いている間ノートナンバー78を鳴らし続け、5秒の時だけノートナンバー49が鳴ります。MIDIの説明は明後日します。)

「t」オブジェクト・・・「trigger(トリガー)」の略で、信号を出す順番を指定します。詳細説明省略します。

「lcd」オブジェクト・・・「判定画像を表示させる領域」という矢印がでている枠の部分です。オブジェクト・ボックスに「lcd」と入力すると、この形に変わります。この領域には文字を書けたり、マウスで絵を描けたりする、画像を扱うためのオブジェクトです。今回は事前に用意した2枚の画像を表示させるために使用しました。5秒きっかりで止められたときは、OK画像が出るようにしました。詳細説明省略します。

さて、以上のオブジェクトを用いて、「100分の1秒の精度で、5秒きっかりを出すためのプログラム(判定画像付き)」をつくることができました。それではこれから、実際にみなさんのパソコンで動かすための説明をします。

note note note

Max/MSPで作った「パッチ」は配布することができます。ただし、パッチのデータだけがあっても、それを動かすソフト(つまりMax/MSP)がないと動きません。

今私がやったようなプログラミングを行うためには「Max/MSP」を購入する必要がありますが、パッチを実行するだけならば、無料の「ランタイム」をダウンロードし、インストールすればOKです。

Max/MSPの発売元である「Cycling'74社」のサイトにアクセスし、ランタイム(Runtime)をダウンロードします。

1. http://www.cycling74.com/downloads/max5 にアクセス。
2. Macを使っている人は「Current Mac Version」、
  Windowsを使っている人は「Current Windows Version」をクリック。
3. 「Max5.0.x Runtime」をダウンロード。
4. ダウンロードしたファイルを実行し、インストール。

ここまで出来ましたか?それでは次に、今回私がつくったパッチをダウンロードしてください。

clipダウンロード 081011.zip (35.9K)

これをダウンロード後展開し、「081011.maxpat」を実行してください。100分の1秒精度とはいえ、5秒を出すのはかなり難しいです。自分で作っておきながら、5秒を出せた瞬間「やった!」と叫んでしまいました(笑)。

※Max/MSP Version5を使う為には、お使いのパソコンが以下の条件を満たしていることが必要です。
 Windows機の場合:WindowsXPまたはVista。メモリ1GB以上。
 Mac機の場合:OSX10.4以降。メモリ1GB以上。
 また、Cycling'74社ダウンロードページから通常版(Max5.0.x with documentation)をダウンロードすれば、30日間無料でプログラミングも出来る状態で使えます。

  

good good good

昨今の技術のめざましい発展により、コンピュータが高性能になり、MIDIやデジタルオーディオを扱えないパソコンは皆無になりました。特殊な機器を購入せずとも、家庭にあるパソコン1台で音楽制作ができてしまいます。音楽制作が身近になり、音楽教育を受けたことがない人でさえもDTM(デスクトップミュージック)を駆使し、音楽をつくることができます。

そういう人たちが増えたからこそ、Max/MSPというソフトの重要性が大きくなってきていると思います。Max/MSPはプログラミング言語なので、DTMで行う「できあいのシーケンスソフトや編集ソフトを使う」という行為ではなく、「自身の目的のためにプログラムを組むことが出来る」点が特長です。

プログラミングといっても、上記のようにオブジェクトを線で結んでいくというわかりやすい手法なので、誰もが取りかかることができます。もちろん、これの基本はMIDIであったり、デジタルオーディオ処理であるため、DTMのハウツーを知る必要はあります。

しかし、DTMでは「曲を仕上げなければならない」という最終目標になってしまいますが、Max/MSPの場合はそれが無限大に存在します。私の場合は「音そのものの響き」を生み出すことができる楽しさを実感して、制作をしています(今回は説明しませんでしたが、「リアルタイムな音響処理」、「音を検知して何かを動かす」などということが簡単にできます)。

より自分の求めている音楽・音を追求したいと思っている人、プログラミングを始めたいと思っているけどなかなかとっかかりがない人、など、たくさんの人にMax/MSPを触ってほしいと思います。音大生ブログRankingに投票!

明日は、”私が大学で勉強している「現代音楽」の作曲から考える音楽史のお話”です!お楽しみにclip 河合達人

pen pen pen

あとがき(閉じていますので、「続きを読む」をクリックしてご覧下さい)

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2008-10-09

卒業制作のプロトタイプその1

僕の卒業制作は、もちろん作曲です。自分の決めた課題にとりかかることができた大学4年間は本当充実したものだったと思います。これまでの3年半は、自分の限界に挑戦することを必ず掲げていたので、内面と向き合い苦しみながら楽譜に向かっていました。そうすることで、僕は音楽に対して素直になることができるようになったと思っています。

そのすべての苦しみを消化し、「僕らしい」曲を最後につくって卒業します。

合唱と和太鼓とMax/MSPのための『DAreflex』です。技術と音楽の調和を知ることが出来た今、するべきは、楽しみながら曲をつくることなんじゃないかな、と思っています。

081009

これ、9月7日段階のMax/MSPパッチのプロトタイプ(一部)です。映像にしたほうがわかりやすいんですけどね。今日は画像だけにしておきましょう。

視覚的なインパクトに加えて、音楽的に実感できる・わかるものを素直に目指して制作を進めています。あと半年もないですね、来年2月21日の卒業演奏会を楽しみにしていて下さい。

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2008-08-26

無限音階(シェパードトーン)をMax/MSPで

無限音階。聞いたことがある人も多いとは思います。久しぶりに仕組みを勉強しなおして、Max/MSPのパッチで自ら再現をしました。音響学勉強中のせっかくの機会なので、つくってみました。


無限音階(シェパード・トーン・スケール)生成パッチ

リンク先ページの一番下にアップしました、どうぞつかってみてください。パラメーターをいろいろ変えて遊んでみると楽しいです。

・・・

基本周波数のオクターブ関係にある倍音だけ鳴らします(つまり2のn乗)。(ただし、nは-6から6までの整数としました)

今回、それぞれの倍音の音量は、「2のマイナス(絶対値n)乗」、としました(つまり、0乗のとき1、1or-1乗のとき0.5、2or-2乗のとき0.25…)。

この音量のグラフの関数が、 「log2(x/y)」 というグラフ。yは基本周波数(スペクトルエンベロープの山となる周波数)。xは実際に動かす周波数(音階なので、xは2xまでそれぞれ動く)。

・・・

そして、Max/MSPを動かせないかたの為に、このパッチで作った音もアップしてみます。トーン・クロマ(音楽的音高)は下がっていくのに、トーン・ハイト(音色的音高)があがっていく音です。

つまり、上の関数のyをあげながら、xをさげる。ということです。

はい、聞けますよ!試聴可能ですよ!ですが、これは気持ち悪いので、ヘッドフォンの方は気をつけてください。3GPファイルも用意しました。ダウンロードすると、携帯の着メロに出来ますw

MP3:http://tatsuto.way-nifty.com/blog/music/080826.mp3
3GP:http://tatsuto.way-nifty.com/blog/music/080826.3gp

・・・

こういうふうに、人工的に音をつくってしまうと、だまし絵のような音が完成するわけです。祖父にきかせたらば、「飛行機のエンジンがこんな音するよね」って。確かに。今度、飛行機大嫌いな僕は11月に飛行機乗らなきゃいけないので(笑)、聞いてみようと思います。  good音大生ブログRankingに投票!

・・・

参考:
 心理学のデモンストレーション教材の研究と開発 7ページ
 Impossible Music 橙色の丸を押すと、無限音階を聞けます

・・・

追記08.08.27 こんなのも作ってみました。無限音階をリニアにあげていく音に、AM合成しています。

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2008-07-21

明日のパッチ

今、確認したら、プログラム自体は100KBくらいしかないんだなぁ…。すごい複雑なことをしているようにみえても、ばらせば一つ一つは単純。どんな複雑な機械でもばらせばネジと歯車と導線になるように。

無我夢中なのか無我霧中なのかわからないけど。「教授陣の前でこれをやって、どういう反応をするか楽しみだ」って思える余裕はあるから。

がんばる。みててくれ。

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2008-06-16

Max/MSP5オーサライズ

Max/MSP5をインストールしてから、もうすぐ20日になります。
Internet activationによりオーサライズをしようと試みますが、うまくいきません。結局、イーフロンティアに連絡して、チャレンジコードを送り、レスポンスコードを返して貰うことにより、オーサライズをしました。

どのように、うまくいかなかったかというと…

1.Internet activationにチェックが入った状態で[Next]をクリック
2.ブラウザが立ち上がり、シリアル番号を入力して[Authorize]をクリック
3.個人情報を入力し[Register]をクリック
4.Maxからのメッセージで以下のように出てしまい、レスポンスコード入力画面に切り替わる。

Unable to complete internet activation

The internet activation server returned a server error(HTTP status Internal Server Error). Press OK to manually activate your software.

5.ブラウザは次の画面に移行し、以下のように出る。

Thank You
Your registration information and 〜以下略

6.数日後、Cycling'74社からメールが届く。イーフロンティアによれば、このメールが届いた後に、もう一度、上の1〜2を繰り返せば正常にオーサライズできるのだそうだ。僕は何回やっても、4.のエラーメッセージが出てしまうので、お手上げ。

ま、とりあえず無事にオーサライズが済んだのでOKです。

>08.06.18 0:30追記
 この件で、イーフロンティアからMax5ユーザに対して正式なメールが届きましたね。Cycling'74社のデータベースに旧ヴァージョンのシリアルがちゃんと入ってなかったから、という理由だそうで。もう直ったそうです。

・・・

この間買ったマウスを使用中、マウスポインタが勝手に動きます。どうやら、マウスパッドのせいらしい。白っぽい(肌色っぽい)色をしているからかな。黒いところに置くと動かなくなります。前のマウスはそんなことなかったのに、違いといえばレーザーが不可視光線なので、それが原因かもしれませんね。

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2008-05-28

(5)

Max/MSP5(+Jitter1.7)が今朝到着しました。

080528

結局学生で、現在Max/MSP4.6を持っている人は、2万円弱(19,530円)のスチューデント版アップロード価格で、Max/MSP5とJitter1.7を手に入れることができるという結論でいいと思います。まだオーサライズしてないですけど、Jitterのオブジェクトも動いてます。

アイコンも変わりましたね。●に「5」って…。わかりやすいなぁ!

Max/MSPとJitterは完全に抱き合わせてあって、ソフトの起動画面にMax/MSPのコード(鉄?)が絡まったようなタイトルとJitterのメガネかけた猫も出てきません(いや、まだオーサライズしていないからかな?)。

オーサライズはチャレンジ&レスポンスコードによるものから、ネットでのオーサライズになったようです。まだ、オーサライズしていないのは、HDDを変えようと思っているから。とりあえず30日間は使えますしね。

・・・

一つ問題なのは、Max/MSP4.6で作ったパッチに、日本語のコメントボックスがあると落ちます。僕が以前つくった、「t3.round」という四捨五入するパッチも、日本語入っているので落ちます。というわけで、つくりなおしました、以下からダウンロードできます↓↓

[t3.round](Max/MSP5用,ver.080528)

Max/MSP5で作ったパッチは下位互換性がないようなので、Max/MSP4.6以下では開けません。ファイルの拡張子も、[.mxb]から[.maxpat]に変わってますしね。ただ、古いヴァージョンと同居できているので、そんなに問題も無いと思います。

Max/MSP4.5から4.6にアップしたときは、起動時に古いバージョンで使ってたエクスターナルを読み込むかどうか聞いてきたんですけれども、それがありませんでした。なので、fiddle~だの、aka.wiiremoteだの、Max/MSP4.6フォルダからいろいろコピーしました。

とりあえずそんなところですかね。ダブルクリックして、オブジェクトを追加できるのはとてもやりやすいし、ディザリングがかかった文字になったので、目に優しいです。デザインはとてもフレンドリーな感じになりましたね。前のは前のでプログラミング言語っぽくて好きでしたけど、今回のも好感が持てます。

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